リコーは10月30日,同社の連結子会社であるリコー電子デバイスの発行済株式の80%を,日清紡ホールディングスに譲渡すると発表した(ニュースリリース)。
リコーの電子デバイス事業は,1981年にリコーの事業部門としてスタート。2014年に会社分割により分社化し,リコー電子デバイスとしてスタートを切っている。リコー電子デバイスは,世界に先駆けて製品化を実現したCMOSアナログ技術をコアとして,携帯機器市場向けに小型・低消費電力の電源IC,車載・産機市場向けに高耐圧・大電流・高性能な電源IC,リチウムイオンバッテリー市場向けに小型で高精度な保護ICなどを提供している。
加えて,リコーグループの主力製品であるプリンター・複合機などの画像機器の差別化に繋がる,高機能な画像処理デバイスを提供しているほか,独自に培ってきたデバイス生産技術を活用し,要求にカスタマイズしたプロセスによるCOT(Customer Owned Tooling)サービスを行なっている。
リコーは,2017年度から開始した3カ年計画「第19次中期経営計画」の中で構造改革と成長事業の重点化,経営システムの強化に取り組んでいる。その中でアナログ半導体事業について,同業の事業会社との連携による資本,リソース,ノウハウの導入による競争力の強化を模索していた。
日清紡ホールディングスは,半導体とマイクロ波に特化して事業を展開する新日本無線を子会社に持ち,汎用リニアICやマイクロ波機器などの製品を提供している。日清紡ホールディングスは現在,オートモーティブおよび超スマート社会関連ビジネスに経営資源を重点的に配分し,成長戦略に取り組んでいる。
リコーは今回の株式の譲渡後もインフラサービスなどの提供を通して,グループ関連会社(持分法適用会社)としてリコー電子デバイスを引き続き支援していくとしている。