島津製作所は,A3サイズに収まるコンパクトなフーリエ変換赤外分光光度計「IRSpirit(アイアールスピリット)」シリーズ2機種「IRSpirit-T」と「IRSpirit-L」を10月5日に発売する(ニュースリリース)。価格は「IRSpirit-T」が280万円~,「IRSpirit-L」が220万円~(いずれもソフトウェア込み,税別)。
FT-IRは,サンプルを透過あるいはサンプルから反射した赤外光を検出し,フーリエ変換処理を行なって波長成分を得る装置で,物質の同定や定量,化学構造の推定などを行なうことができる。近年は,ラボで場所を取らないコンパクトモデルの需要が高まっており,サイズと拡張性,使い勝手を両立する装置が求められている。
新製品は,コンパクトながら同社のスタンダードモデルと同じ幅の試料室を有しているため,同社製オプションや市販の他社製オプションをそのまま使用できる。他社製オプションを使用可能なフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)としては,世界最小の設置面積かつ世界最軽量を実現した。
複雑なパラメータ設定を必要とせず,分析目的や手法を選択する簡単な操作だけで23通りの確認試験や異物分析を実行できるプログラムも標準搭載する。分析の目的に合わせ,同社スタンダードモデルと同等の感度で分析可能な「IRSpirit-T」とリーズナブルな価格の「IRSpirit-L」を選択できる。
同社は,ハードとソフトの両面から開発を進め,試料室の幅はそのままに自社スタンダードモデルの1/3以下の設置面積を実現し,分析に習熟していなくても良好なデータ取得を可能にする新しいプログラムなども導入した。製薬や化学,食品,大学などの業界を中心に展開し,発売から1年間で国内外計850台の販売を目指すとしている。