情報通信研究機構(NICT)は,早稲田大学と共同で,多数の光信号を同時に受信し,高速に電気信号に変換する高速集積型受光素子を開発した(ニュースリリース)。
開発した素子は,約0.1㎟に32個の受光部を集積しており,光通信において多チャネルの光信号を一括受信し,チャネル別に10GHz以上の高速電気信号に変換する。
開発した要素技術は以下のとおり。
・素子間の信号の漏れを抑制するクロストーク制御技術
・光信号を電気信号へ変換する高速受光素子技術
・半導体を作製するための高密度集積技術
・性能評価技術
開発では,早稲田大学はクロストーク制御技術を用いて集積化の設計を行ない,NICTは高速受光素子技術,高密度集積技術により素子を作製し,受信性能の評価を行なった。
この素子は,複数の光信号を一括受信して電気信号に変換するため,光受信器数を大幅に削減し,省スペース化を行ない,さらに,各光受信器が搭載する消費電力の大きい信号処理回路を1つに集約することで省電力化を可能とした。
今回,この素子をマルチコアファイバ,マルチモードファイバと直結して光信号の受信に成功したことにより,将来の光ファイバ用超小型受信器の実現性を確認した。
また,この素子は2次元面上に到来する赤外光の強さと位相差を計測でき,イメージセンサーやレーザー測距等への応用も期待されるという。この素子は,CCDイメージセンサーと比較して約1,000倍~10,000倍高速な10GHz以上で並列動作し,集積数を高めても動作速度への影響は小さく,フレームレートの高いイメージング等に有効と考えられるとしている。