西松建設とパスコは,道路工事現場の生産性向上を図るため,車両搭載型レーザー計測システム(MMS:Mobile Mapping System)による盛土法面の出来形計測における精度検証と3次元地形モデルの生成効率の評価を目的に適用試験を行ない,その有効性を実証した(ニュースリリース)。
国土交通省では,土木工事における生産性向上を図るため,3次元データを工事の全工程で活用する「i-Construction」の取り組みを2016年4月から開始し,2017年度からは,対象とする工事の種別,規模などを拡大している。
現在,道路工事完了検査時の出来形計測においては,ドローンを活用した空中写真測量や地上据置型のレーザー計測器による3次元地形のモデル化が主な手法として活用されている。しかし,植生工後,草が伸びる法面では,植生に覆われる地形の3次元モデル化に課題が残っていた。その課題を解決するために,MMSの適用試験を行ない,精度検証とその有効性を評価した。
その結果,MMSでの計測成果(精度)は,近傍の電子基準点を用いるなどの精度向上を図り,出来形計測における要求精度±5cm以内に収まることを検証した。また,植生の隙間を通過し,地面まで到達できていることが確認できた。
今回の検証結果から,出来形計測における出来形検査に適応した要求精度±5cmを担保しつつ,効率的な3次元地形モデルの生成にMMS計測が有効であることが確認できた。また,現場での作業時間はドローンによる空中写真測量が約1時間半に対して,MMS計測は約40分と大幅に短縮でき作業の効率化に効果があること,ドローンと比べて風等の天候に左右されず,安全性の高い計測手法としても効果があることも確認できたという。