ウシオオプトセミコンダクターは,近赤外線領域(Short Wavelength Infrared:SWIR)のLEDにおいて,同社従来製品比約1.5倍の高出力化に成功。9月1日からSmall Size Chipを搭載したSWIR LEDの販売を開始する(ニュースリリース)。
SWIRは,水や氷,ガスなどが赤外線を吸収する特性を利用し,物質の有無や成分量の検知に利用されているほか,医療分野では血中酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターや血糖値測定装置の光源として利用されている。
また,食品分野では野菜や果物中の水分量や糖度の測定などに利用されており,近年では,InGaAsカメラと組み合わせることで,穀物の品質検査において水分量(みずみずしさ)の処理検査が高速で可能になるなど,センシング分野において応用利用が期待されている。
しかし,現在のLEDにおいてSWIR領域は他波長帯と比較すると出力が低く,測定対象や照射エリアに関係なく,近接での測定・検出にしか用いることができず,高出力が必要な用途では複数のLEDチップを配列する方法しかないため,パッケージの大型化やコストアップの要因となってしまうという課題がある。
新製品は,同社のLED製造・開発部門の前身でありSWIR LED製造を得意としていたエピテックス社の技術・ノウハウと,同社が保有しているSWIRレーザーダイオードの技術を融合させ,さらにMOCVD装置を導入することで,SWIR LEDの高出力化に成功した。
これにより,大型対象物等への適用が広がり,従来以上に農産物検査や成分検知,セキュリティ用途への展開が期待されるとしている。