島津製作所は,8月9日から同社の分析データ管理システム「LabSolutions(ラボソリューションズ)」のアップデートの提供を開始し,これまでは高速液体クロマトグラフ(HPLC)およびガスクロマトグラフ(GC)に対応していた「レポートセット機能」を,同社の紫外可視分光光度計,フーリエ変換赤外分光光度計,蛍光分光光度計の光分析装置3機種にも対応させ,データの完全性(データインテグリティ)の確保を強化する(ニュースリリース)。
この管理システムは,同社の分析装置を制御・管理するソフトウェア。「レポートセット機能」は,医薬品の品質試験などを行なうための独自機能。分析装置の使用記録や分析結果・条件など,データのレビュー作業時に必要な各種情報を「LabSolutions」が自動的に収集してレポートにまとめ,セキュリティ管理されたデータベース内に保存する。今回の対応機種拡大により,さらなる作業負担の軽減や,データの改ざん防止といった信頼性の向上が期待できる。
医薬品の品質試験は,事前に定められた手順に従って正しく実施され,得られた分析データや試験結果を適切に管理する「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」(GMP:Good Manufacturing Practice)の遵守が求められる。また,製薬企業に対する査察や調査などを行なうアメリカ食品医薬品局(FDA)などは,医薬品試験の信頼性確保のためにデータの完全性を求めている。
製薬企業は,試験そのものが正しく実施されたことを証明するため,分析データや試験記録,装置の使用記録などを保存し,FDAの定める電子記録・電子署名規定「FDA 21 CFR Part 11」に従って分析データや試験記録を管理する必要がある。
HPLCおよびGCに関するこの作業の効率化や信頼性の確保に「LabSolutions」の「レポートセット機能」は,対応する機種の拡大を求められていた。今回,それに応えて汎用性の高い光分析装置への対応を実現した。