阪大ら,単結晶酸化物フリースタンディングナノワイヤを作製

大阪大学と伊ジェノバ大学の研究グループは,金属-絶縁体相転移に伴う巨大な抵抗変化を示す機能性酸化物セラミックスにおいて,新たな3次元造形の開発により,単結晶酸化物フリースタンディングナノワイヤの作製に成功した(ニュースリリース)。

これまで,機能性酸化物は,巨大な電気抵抗変化を伴う金属-絶縁体転移現象や,強磁性,超伝導など多彩な機能を示し,薄膜デバイスの研究が世界中で活発に行なわれている。しかし,3次元的な立体構造を作製することは,酸化物ならではの硬さ,脆さにより非常に困難だった。

研究グループでは,酸化マグネシウム(MgO)基板上に,高品質酸化バナジウム単結晶を成長させる技術を開発し,MgO基板をエッチングにより取り除く技術の開発により,単結晶酸化バナジウムフリースタンディングナノワイヤを実現した。

これにより,従来の100分の1の消費電力で3桁の電気抵抗スイッチングを実現,また,新しい原理に基づく高周波アクチュエータの作製にも成功した。

この研究成果により,フリースタンディング構造による高度な熱管理による高性能温度・赤外線センサー,超省電力スイッチングデバイスや,MEMS/NEMS(マイクロ/ナノ電気機械結合システム)による新型アクチュエータなどへの応用展開が期待されるとしてる。

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