広大,銀河団中の鉄の起源に新たな知見

著者: sugi

広島大学の国際研究チームは,日本のX線天文衛星「すざく」の観測データを解析することにより,多くの銀河団において鉄が銀河団を満たす高温プラズマの中で外縁部まで同じように存在していることを突き止めた(ニュースリリース)。

宇宙に存在する元素のうち,水素とヘリウムは宇宙最初のビッグバンによって主に生成されたと考えられている。一方,それより重い炭素,酸素,珪素,鉄などの元素は,宇宙の進化ともに形成された銀河の中の星の中で,核融合によって生成されたと考えられている。

しかし,そうした重い元素がどのように宇宙全体に広がったのかは定かではなかった。

研究チームは,10個の近傍銀河団を調べ,すべての銀河団において,高温プラズマ中の鉄の含有量が太陽の1/3でそろって分布していることを示した。

この結果は,約100億年前に銀河団が形成されたよりも前に,宇宙の中で鉄が作られて銀河間空間にばらまかれたことを示唆する。こうした鉄などの元素は,初期銀河の中の星の核融合で生成され,早い段階で非常に多数の超新星爆発によって銀河の外に撒き散らされたと考えられる。

もし,これらの重い元素が比較的最近生成されたとすると,その分布は銀河団ごとに異なると考えられるが,観測結果はそうなっていなかった。

キーワード:

関連記事

  • 国立天文台など、宇宙物質が複数の起源を持つことを明らかに

    アルマ望遠鏡とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いた研究により、ろくぶんぎ座の方向にある3つのモンスター銀河の星形成が、単一のメカニズムではなく複数の起源によって引き起こされていることを、総合研究大学院大学、…

    2026.01.09
  • 京都大学、光学望遠鏡でブラックホール誕生に伴う超新星爆発を解明

    せいめい望遠鏡・国立天文台すばる望遠鏡などによる超新星観測を通じて、ブラックホール形成の際に超新星爆発が起こり得ること、さらにそのような超新星が特別な性質をもつ「Ic-CSM型」超新星になることを、京都大学の研究グループ…

    2026.01.07
  • 国立天文台など、すばる望遠鏡と宇宙望遠鏡データで新たに2つの低質量天体を発見

    国立天文台、アストロバイオロジーセンターの研究チームは、すばる望遠鏡による高精細な観測と、宇宙望遠鏡のデータを組み合わせ、恒星の周囲に新たに2つの低質量天体を発見した(ニュースリリース)。 OASIS(Observati…

    2025.12.11
  • 京都大、太陽系外の惑星を調べる超小型紫外線衛星の打ち上げに成功

    京都大学の研究グループは、超小型紫外線観測衛星「Mauve」衛星が米SpaceX社のロケットにより打ち上げられ、恒星活動と惑星環境の関係を探る観測ミッションを開始した(ニュースリリース)。 太陽のような恒星は、活動が活発…

    2025.12.10
  • 東大、天の川銀河の中心方向にガンマ線の放射を発見

    東京大学の研究グループは、フェルミガンマ線観測衛星の最新データを解析し、我々が住む天の川銀河(銀河系)の中心方向から、約20ギガ電子ボルト(GeV)のガンマ線が、角度にして30度以上にぼんやりと広がって放射されていること…

    2025.12.03
  • 広島大ら、ブラックホールに落ち込むプラズマ構造を解明

    広島大学、大阪大学、JAXA宇宙科学研究所、愛媛大学は、気球望遠鏡XL-Caliburを用いた新たな観測により、ブラックホール周辺の極限的な環境を明らかにした(ニュースリリース)。 ブラックホールに降着し吸い込まれる物質…

    2025.11.28
  • KDDI総研と京大、千歳科技大 宇宙光通信に適した周波数変調型フォトニック結晶レーザーを開発

    京都大学、KDDI総合研究所、公立千歳科学技術大学は、宇宙光通信など長距離自由空間光通信(FSO)への応用を想定し、発振周波数を高効率かつ高速に変調できる「周波数変調型フォトニック結晶レーザー(PCSEL)」を開発した(…

    2025.11.27
  • NIFSら、ハイパースペクトルカメラで青いオーロラの高度分布を精密観測

    核融合科学研究所(NIFS)、京都大学、名古屋大学は、ハイパースペクトルカメラ(HySCAI)を用いて天文薄明時に青い光を放つ窒素イオン(N2+)オーロラの高度分布を観測することに成功した(ニュースリリース)。 オーロラ…

    2025.11.18

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア