広大,銀河団中の鉄の起源に新たな知見

広島大学の国際研究チームは,日本のX線天文衛星「すざく」の観測データを解析することにより,多くの銀河団において鉄が銀河団を満たす高温プラズマの中で外縁部まで同じように存在していることを突き止めた(ニュースリリース)。

宇宙に存在する元素のうち,水素とヘリウムは宇宙最初のビッグバンによって主に生成されたと考えられている。一方,それより重い炭素,酸素,珪素,鉄などの元素は,宇宙の進化ともに形成された銀河の中の星の中で,核融合によって生成されたと考えられている。

しかし,そうした重い元素がどのように宇宙全体に広がったのかは定かではなかった。

研究チームは,10個の近傍銀河団を調べ,すべての銀河団において,高温プラズマ中の鉄の含有量が太陽の1/3でそろって分布していることを示した。

この結果は,約100億年前に銀河団が形成されたよりも前に,宇宙の中で鉄が作られて銀河間空間にばらまかれたことを示唆する。こうした鉄などの元素は,初期銀河の中の星の核融合で生成され,早い段階で非常に多数の超新星爆発によって銀河の外に撒き散らされたと考えられる。

もし,これらの重い元素が比較的最近生成されたとすると,その分布は銀河団ごとに異なると考えられるが,観測結果はそうなっていなかった。

キーワード:

関連記事

  • 京都大学 特別教授 野田進教授

    フォトニック結晶レーザーが拓く「高輝度半導体レーザー」の次章

    半導体レーザーは小型、高効率という強みを持つ一方で、高出力化するとビームが乱れ「輝度」が伸びないという壁があった。フォトニック結晶レーザーはその常識を塗り替えつつある。その研究の先駆者である京都大学高等研究院・特別教授の…

    2026.04.02
  • 【主張】政策と技術を結ぶ日本の可能性

    世界最大の光学展示会 3月15日から米国ロサンゼルスでOFC(Optical Fiber Communication Conference and Exhibition)が開幕する。通信バブル崩壊後、存在感を失っていた同…

    2026.03.25
  • Orbital Lasers、30.2億円の資金を調達 宇宙用レーザーの送受光技術を開発へ 

    Orbital Lasersは、シリーズAラウンドとして第三者割当増資及びJ-KISS型新株予約権の発行により30.2億円の資金調達を実施した(ニュースリリース)。これにより、シードラウンドからの累計エクイティ調達額は3…

    2026.03.23
  • 岡山大など、シリコンフォトニクスを用いた人工衛星用静電気センサを開発

    岡山大学、大阪公立大学、九州工業大学、産業技術総合研究所、春日電機は、シリコンフォトニクスを用いた人工衛星用の静電気センサを開発した(ニュースリリース)。 近年、人工衛星を活用した宇宙ビジネスが拡大している。小型衛星ネッ…

    2026.03.03
  • JAXA、X線分光撮像衛星で『宇宙の嵐』を観測

    宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、X線でもっとも明るい銀河団であるペルセウス座銀河団における高温ガスの運動をX線分光撮像衛星「XRISM」で精密に測定し、銀河団中心部では超巨大ブラックホールが、その外側では暗黒物質に支…

    2026.02.26

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア