NII,日欧間で131Gb/sのデータ転送に成功

国立情報学研究所(NII)は欧州の研究ネットワーク「GÉANT」と共同で,NIIが構築・運用している学術情報ネットワーク「SINET5」の100Gb/sの日米回線などを使って構築した日欧間のネットワークで大容量データの転送実験を行ない,10TBのデータを131Gb/sの速度で転送することに成功した(ニュースリリース)。

データ転送には,NIIが超高速データ転送用に開発したプロトコル「MMCFTP」(Massively Multi-Connection File Transfer Protocol)を使用した。MMCFTPは,データを転送する際に多数のTCPコネクションを同時に接続して,通信帯域を大幅に広げることができるファイル転送プロトコル。

従来の転送プロトコルは,今となっては低速なネットワークを前提に設計されていたので,例えば,遅延時間が4倍になると転送速度は4分の1になり,ネットワークの能力をフルに活用できない制約となっていた。

しかし,MMCFTPは往復遅延時間の大きさ等のネットワーク条件に応じてTCPコネクションの数を自動調整するため,安定した超高速データ転送を実現できる。今回の実験は地理的に異なる二つのルートで日欧をつないで行なわれたが,MMCFTPが実装している,一つのファイルを送るのに複数のネットワークを同時に使う機能(マルチホーム機能)により,計200Gb/sの回線帯域を利用したデータ転送が可能になった。

素粒子物理学,核融合学,天文学などの先端科学技術分野では国際協力によって構築された巨大な実験装置などで得られたビッグデータを国境や地域を越えて転送・分析しており,大陸間の大容量高速データ転送技術の必要性が高まっている。

今回の実験で多くの巨大実験装置が立地する欧州との間で131Gb/sという速度での転送に成功したことは,SINET5の100Gb/s日米回線など世界中で導入・増強が進む広帯域回線の連携と,複数の回線を利用して大容量のデータを高速で転送できるプロトコルMMCTFPの組み合わせが,国際共同研究における日欧間ビックデータ共有の活発化・高度化に寄与できることを実証したものだとしている。

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