東大ら,観測史上最高温の惑星を発見


東京大学と国立天文台が参加する国際研究チームKELTは,昼面の温度が摂氏4,300度にも達する観測史上最も高温の太陽系外惑星を発見した(ニュースリリース)。

巨大ガス惑星が主星のそばを公転する「ホットジュピター」は,高温の恒星は高速で自転しているため,太陽系外惑星探しの代表的な方法である分光によってドップラー効果を観測する視線速度法による惑星探しが難しく,これまで発見例が少なかった。

また,高温の恒星はとても明るいため,もう一つの代表的な惑星探しの方法である,CCDカメラによって恒星の減光を観測するトランジット法によるターゲットからも漏れてしまっていた。

そのような状況のもと,KELTは口径たった4.2cmという非常に小さな望遠鏡を2台使ったトランジット惑星探しをすることで,特に明るい恒星のまわりの惑星探しを2005年から実施してきた。

KELT-9bと名付けられたこの惑星は,摂氏およそ10,000度の恒星KELT-9のまわりを約1.5日という短周期で公転している。非常に高温の恒星のすぐそばを公転しているため,自ら光り輝かない惑星であるにも関わらず,この惑星の大気の温度は恒星の温度にも匹敵する高温になっている。

また,この惑星は主星からの強い紫外線を受け,彗星のように大気が流出している可能性が考えられる。今後の詳細な惑星大気の観測で,惑星からの大気の流出率などが明らかになれば,この数奇な惑星がこれからどのような運命をたどるのかが明らかになると期待されるという。

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