新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで,オーエー研究所とエピフォトニクスは,8K映像データの乱れない切換を実現し,放送局向けのネットワークシステムの消費電力を約1/4に削減可能な波長多重伝送切換装置を開発した(ニュースリリース)。
インターネットや携帯電話等のトラフィックの80%以上がデータセンタ内およびデータセンタ間であり,消費電力増加が大きな問題となっている。2000年から2006年で消費電力は倍増,2020年には2010年比5倍の消費電力増加が予想され,この消費電力増加を解決するのは喫緊の課題となっている。
今回,このプロジェクトでの最初の研究成果として放送局向けネットワークシステムの省電力化についてオーエー研究所は,エピフォトニクスが開発したナノ秒オーダーの光導波路高速切換性能と,省電力性を有する超高速PLZT光スイッチを光レイヤ1スイッチに採用したDWDM波長多重伝送切換装置を開発した。
この装置は,PLZT光スイッチの高速切換性,省電力性の技術を適用したもので,世界で初めて8K非圧縮データに対し電気変換を伴わず光のままの通信で映像乱れの無い無瞬断切換を実現し,既存電気スイッチを採用した無瞬断切換と比較して消費電力を約1/4に削減した。
NEDOは,今回の成果をもとに,データセンタ向けのシステムに展開,さらなる研究開発を推し進め,2023年に省エネ効果量2.6万㎘,2030年には21.2万㎘を目指す(原油換算)。
また,この装置を組み込んだシステムをデータセンタ内のToR間接続に適用することで,切換速度が遅い従来の光スイッチと比較して,トラフィック当たりの消費電力を1/10以下への削減を目指すとしている。