名工大ら,光に反応して働くたんぱく質を発見

JST戦略的創造研究推進事業において,名古屋工業大学らは,細胞内の重要なシグナル伝達物質である環状ヌクレオチドを光で分解するたんぱく質(Rh-PDE)を発見した(ニュースリリース)。

生命現象を光で操作する技術は光遺伝学(オプトジェネティクス)は,近年飛躍的な発展を遂げている。特に光スイッチ型イオン輸送分子を用いた神経活動の光操作技術は,脳神経機能の解明に大きく貢献している。一方,細胞内シグナル伝達物質の分解を光操作可能な分子の種類は限られ,その発見や開発が待たれていた。

研究グループは,襟べん毛虫という微生物において,光受容体であるロドプシンと,ホスホジエステラーゼ(PDE)が連続した遺伝子コードをゲノム中に持つことに着目。この遺伝子から作られるたんぱく質(Rh-PDE)が,光に反応して環状ヌクレオチド分解活性を示すことを証明した。

このたんぱく質を人の培養細胞に導入したところ,光照射によって細胞内の環状ヌクレオチド濃度を抑制することに成功した。

Rh-PDEを光遺伝学ツールとして細胞内シグナル伝達の光操作技術に応用すれば,代謝調節や細胞分化など生命現象の解明に役立つと期待されるという。環状ヌクレオチドは呼吸器系疾患や認知症,網膜色素変性症などの疾患にも深く関与しており,Rh-PDEを応用した細胞内シグナル伝達の光操作法が確立されれば,これら疾患メカニズムの解明にも貢献することが期待されるとしている。

その他関連ニュース

  • 北大,光で凝集体機能障害誘引と細胞運命解析に成功 2024年05月13日
  • 山梨大ら,光で細胞の脂質シグナルを操り記憶を強化 2024年04月10日
  • 慈恵医大ら,細胞内シグナル伝達と神経活動を光操作 2024年03月26日
  • 理科大,光遺伝学的手法により抗不安作用を解明 2024年02月22日
  • 医科歯科大,光遺伝学で成熟破骨細胞を分化誘導 2024年02月13日
  • 京大ら,霊長類の意思決定機構を光遺伝学で解明 2024年01月05日
  • 東大,南極海に分布する珪藻に新たな光利用を発見 2023年11月08日
  • 慶大,光遺伝学に視覚再生と網膜変性の保護効果確認 2023年10月17日