産業技術総合研究所(産総研)は,通信機器メーカーと連携して,光スイッチを駆使することで光信号を電気変換せずに光のまま交換し,超大容量・超低消費電力・超低遅延を実現する情報通信ネットワークシステムを開発した(ニュースリリース)。
さらに,この技術の普及を図るため,従来は各企業の独自規格であった光伝送ネットワークシステムを,機能ごとに分割し,個別に迅速な機能追加や性能改善を図ることが可能なディスアグリゲーション型のシステムとした。
従来,光伝送ネットワークに,異なるメーカーの装置が混在するディスアグリゲーション方式の導入は難しいと考えられてきたが,今回,高速連携動作を実現する制御インターフェースを開発することにより,実際に,NEC,富士通,および産総研製の異なった機器同士の高速連携動作を実証した。
連携動作のために,さまざまな企業の製品をソフトウェアによって制御し,連携動作を可能にする中間制御装置の開発を行なった。中間制御装置は,汎用サーバーを利用できる。これらに加え,各製品を規格化した1RUサイズの標準ブレード(幅482.6 mm×高さ44.0 mm)に対応させることで汎用性を高め,規格化した標準ラックに搭載した。
標準ブレードは,光入出力ポート,外部制御インターフェース,LEDインジケーター(警告,通信エラーなど)の必要最小限の構成であり,中間制御装置と連携させることによって最大限の相互運用性を実現できる。
光ネットワークの中核となる光スイッチは,産総研のシリコンフォトニクス技術により開発され,世界最小の光スイッチ・ブレード装置として標準ラック内に組み込まれ,中間制御装置によって制御される。大規模なダイナミック光パスネットワークの実現に必要な,偏光無依存型の32入力32出力(32×32)光スイッチは,偏光依存型の動作実証が完了しており,今後,偏光無依存化技術を適用していく。
このシステムにより,8K映像やビッグデータなど需要の増加に対応した最適構成を低消費電力で実現できる。これによって,近い将来に直面すると考えられている情報通信ネットワークにおける爆発的なデータ量の増加とそれによる消費電力の増大という社会的問題の解決に貢献することが期待できるとしている。
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