NEDOプロの省電力・大容量光配線技術,ISSCCで発表


新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトにおいて,光電子融合基盤技術研究所(PETRA)が研究開発したプロセッサ間を省電力・大容量につなぐ光配線技術の成果が,半導体デバイス分野の国際学会ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)に認められ,PETRAは2月5日から米国サンフランシスコで開催されたISSCC 2017の招待講演で成果の発表を行なった(ニュースリリース)。

発表した成果は以下の4件。

【1】ブリッジ実装構造による高密度光トランシーバの実証
シリコンフォトニクスによる光変調器と光受信器を高密度に集積した光集積回路とその駆動CMOS電子回路の一部を,フリップチップボンディング技術を用いて直接貼り合わせ,かつ駆動電子回路の残りの領域を基板と直接接合することで,高密度かつ高品質に,電源と信号の接続が可能となるブリッジ実装構造を開発した。ブリッジ実装構造による高密度光トランシーバを試作し,25Gb/sの光トランシーバ高速動作を実証した。

【2】プリエンファシスドライバによる省電力光送信器の実証
従来,光素子を高速に動作させるためには,光素子に一定の電圧をかける必要があり,光送受信回路の省電力化は困難だった。今回,光素子を低電圧駆動させながら,送信データの変化を捉えて大きな振幅になるように補い,従来の半分の電力で25Gb/sの高速動作を実現した。

【3】量子ドットレーザーのシリコンフォトニクスプラットフォームへの直接搭載技術を開発
温度特性に優れる量子ドットレーザーを,シリコンフォトニクスプラットフォーム上に直接搭載し,高効率に光接続を実現する技術を開発した。

量子ドットレーザー出力光を,シリコンフォトニクス導波路に高効率に導くための光ビームのサイズを徐々に変換するトライデント型スポットサイズ変換構造と,レーザーチップを高精度に搭載するためのシリコンフォトニクスプラットフォーム上の台座構造を開発し,高効率光結合を実現した。

【4】フラットトップで動作波長範囲の広い波長多重通信用波長フィルタを開発
シリコンフォトニクス技術を用い,平坦な動作波長特性を有し,温度変化に対しても動作可能な波長多重通信用波長フィルターを開発した。リング共振器と非対称マッハツェンダ干渉計を組み合わせることで,過剰損失1.5dBと低損失かつ±40℃の温度変化に相当する5nmの広い波長範囲で平坦な透過特性が得られた。

開発した技術は,【1】シリコンフォトニクスによる高密度光集積回路の性能を引き出し,光トランシーバを高密度化すること,【2】高密度かつ省電力な光送信器の実現,【3】高温環境下における安定かつ省電力動作の光送信器の実現,【4】温度変化の大きい環境下における波長多重による高密度化の適用を可能とする。

これらの技術を適用し,サーバー内のLSIに光インターフェースを直接搭載することにより,LSIの帯域ボトルネックを解消し,テラビット級の帯域を実現すること,かつインターコネクトを省電力化し,サーバー・スパコンの高性能・高効率化へ貢献することが期待されるとしている。

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