独ショットは,チリのセロ・アマソネス山に建設されている世界最大の光学望遠鏡,欧州超大型望遠鏡(European Extremely Large Telescope:E-ELT)の反射鏡基板(第2反射鏡「M2」および第3反射鏡「M3」)に関する製造契約を締結した。M2はこれまで生産されたなかで最大の凸面鏡。
この巨大な望遠鏡は,ドイツの技術ノウハウを活用し,巨大な主鏡「M1」と,4つ(M2~M5)の小型反射鏡の5つの反射鏡によって構成されている。
まず,39.3メートルの主鏡(M1)が夜空の光を集め,次に,直径4メートルの鏡であるM2に反射し,さらに,M1の中心に配置された反射鏡M3に光を反射する。M3反射鏡は,その上に配置された適応光学系のM4に光を照射する。このM4は,その表面プロファイルを1秒間に1000回補正して星像の乱れを修正する。
反射鏡基板に使われる,同社のZERODURガラスセラミックは,熱膨張係数が非常に低く,大きな温度変化があった場合でも,膨張を最小限に抑制することができる。また,化学耐性に優れ,高精度な研磨が可能。
同社では2から4メートル級の素材を研削できるように最先端のCNC加工機を導入した。また,今後も優位な市場ポジションを確保し,競争力を強化していけるよう,ZERODUR生産体制の拡充に,数千万ユーロの投資を行ない,第2熔融炉を近日中に稼動させる。
E-ELT反射鏡基板の熔融・成型と研削は,ドイツ・マインツ市のショット本社で行なわれる。その後,研磨とコーティング工程は,ZERODURの加工メーカー,フランスのReosc社が引き継ぐ。M2反射鏡基板は2018年末までに,M3は2019年7月までに生産され,順次出荷される予定。
同社では昨年,セグメント化したM4反射鏡用の基板を出荷したのに続く,E-ELTプロジェクト向けの受注となった。