京セラは,レーザープリンターやデジタル複合機など電子写真方式の印刷機の基幹部品であるアモルファスシリコン(a-Si)感光ドラムにおいて,部品交換なしで約100万枚の印刷ができる世界最長寿命のまま,摩擦係数を約30%低減したa-Si感光ドラム「LFシリーズ」を開発し,1月26日より受注を開始した(ニュースリリース)。
1984年に初めて複写機に同社製アモルファスシリコン(a-Si)感光ドラムが搭載されて以来,同社は薄膜形成技術の進化を通じ,消耗品であった感光ドラムを機械寿命に匹敵する長寿命デバイスへと進化させてきた。
一方,電子写真方式の印刷では,感光ドラムだけでなく周辺デバイスにおいても耐久性の向上による長寿命化が求められている。特に昨今,印刷速度の高速化に伴い周辺デバイスの摩耗が激しいため,感光ドラム表面における摩擦の低減が求められていた。
そこで,同社は直流放電を用いた独自の薄膜形成技術と表面加工技術を組み合わせることにより,世界で初めてドラム表面にサブミクロンサイズの凹凸を有するa-Si感光ドラムを開発し,ドラム表面と周辺デバイスとの摩擦を低減した感光ドラムの製品化を実現した。
この製品は,同社が2011年に販売を開始したa-Si感光ドラム「MSシリーズ」をベースに改良を重ね,ドラム表面にサブミクロンサイズ(1万分の1ミリメートル)の微細凹凸形状を形成することで,周辺デバイスとの摩擦を約30%低減したもの。これにより,世界最長寿命である約100万枚の印刷まで摩擦を低いレベルで維持し,周辺デバイスおよび印刷機の長寿命化に貢献するとしている。