東北大,メラニン色素の可視化ツールを開発

東北大学は,メラニン色素を可視化する新しいツールの開発に成功した(ニュースリリース)。

有害な紫外線から体を守るメラニン色素は,メラノサイトの内部に存在するメラノソームと呼ばれる特殊な小胞(袋)の中で合成されている。メラノサイト内で形成されたメラノソームは,隣接する皮膚を作る細胞・ケラチノサイトへと受け渡され,そこで沈着することによって肌の暗色化(日焼け)が起こる。

メラノサイト内でのメラノソームの輸送の仕組みに関しては,ここ十年ほどでかなりの部分が解明されたが,メラノサイトからケラチノサイトにどのようにメラノソームが運ばれるのかは未解明だった。

メラノサイト内のメラノソーム輸送に比べ解析が遅れている理由の一つとして,ケラチノサイトに受け渡されたメラノソームのみを効率良く顕微鏡で観察することが困難であることがある。

メラノサイト内のメラノソームを観察する抗体などのツールは幾つか知られているが,これらのツールではケラチノサイト内のメラノソームを効率良く認識することができなかった。

今回,研究グループはメラノソーム輸送を行う新規分子の探索過程で,偶然ケラチノサイトのメラノソームも認識できる分子を見出し,メラニン色素を可視化する『M-INK』と名付けて新しいツールの開発に成功した。

この開発により,ケラチノサイトに受け渡されたメラニン色素を3次元的に観察することが可能となり,メラノサイトからケラチノサイトへのメラノソームの受け渡しの分子機構の解明が飛躍的に進むことが期待されるとしている。

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