理研ら,高アスペクト比シリコン貫通穴をレーザーで作製

理化学研究所(理研),中国科学院(SIOM)上海光学精密機械研究所の国際共同研究チームは,最適化した「フェムト秒ベッセルビーム」を用いて,次世代の3次元シリコン大規模集積回路(SiLSI)の高集積化・高速度化につながる高品質・高アスペクト比の「シリコン貫通穴(TSV)」を作製する技術を開発した(ニュースリリース)。

電子機器の小型化・高密度集積化を実現するために3次元SiLSI実装技術の開発が急務の課題となっている。3次元SiLSI作製には,高品質・高アスペクト比のTSV作製技術が鍵になると考えられている。

TSV作製には,現在,反応性イオンエッチングの一種であるボッシュ法が一般的に用いられている。しかし、ボッシュ法ではエッチング速度が遅い,レジスト(保護膜)を用いたリソグラフィ過程が必要になるといった問題がある。

今回,国際共同研究チームは,レジストを用いずに高品質な微細加工を高速で行なうことができるフェムト秒レーザー加工に着目。高アスペクト比加工を行なうためにフェムト秒レーザー光を,微小な集光スポットが長い距離を伝搬するベッセルビーム(回折しない光)に整形・加工した。

さらに,伝搬するレーザー光の空間強度分布を最適化するために,フェムト秒ベッセルビームの形成過程で二段階構造の位相板とアキシコンレンズを組み合わせた。

その結果,厚さ100μmのSi基板へ,穴径~7μm,アスペクト比~15のサイドローブ(回折リング)による損傷の全くない高品質・高アスペクト比のTSV作製を実現した。

最適化したフェムト秒ベッセルビームはTSVの作製だけでなく,さまざまな基板の深穴加工や切断加工に応用できると考えられる。また加工分野だけでなく,細胞レベルでタンパク質などの分布・動態を捉えるバイオイメージングや,レーザー光によって接触せずに微小物体を捕捉・操作するレーザートラッピングによる多重粒子捕捉など,広範な分野への応用が期待できるとしている。

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