独オスラムの半導体部門であるオスラム オプトセミコンダクターズは12月20日,記者説明会を開き,グローバルおよび国内における同社の動向を解説した。
オスラム日本法人の社長である飯田大介氏はその中で,同社の収益高が2011年から2016年にかけ,8億5,800万ユーロから14億2,500万ユーロまで成長しており,特に車載,赤外線部品,プロジェクション,産業向けで首位にあるとした。なおグローバルにおける同社のLEDのシェアは2位で,今後「ストロング No.2」を標榜して事業展開を進めたいとした。
具体的には,一般照明分野での成長を目指す。一般照明はLED化が進んだと言われているものの,途上国をはじめとしてその置き換え需要はまだまだ大きく,また同社の一般照明市場でのシェアも世界8位以内に留まることから,伸びしろがあると読む。
このため,同社はLEDチップの増産を目的として,マレーシアのクリムに10億ユーロを投資し,2020年の完成を目標に前工程のLED工場を建設中だ。この工場は6インチウエハーにより照明用の青色LEDチップを製造するが,その規模は「世界最大級になる」(飯田社長)としている。
製品では,先進運転支援システム(ADAS)を狙った新型LEDを投入する。「OSLON Black Flat S」は,ハイパワーLEDチップをマルチチップパッケージに実装したもので,3~5チップタイプを揃える。全光束は3チップで800 lm,5チップで1,300 lmを実現した。
高密度実装したLEDチップは個別で独立した制御が可能となっており,アダプティブドライビングビーム(ADB)に対応した仕様となっている。同社はこの製品について,3チップタイプは今年度の第4四半期,4・5チップタイプは来年度の第一四半期にリリースしたいとしている。
また,スマートフォンなどにも搭載できる近赤外分光(NIR)装置向けに,650~1050nmの広帯域で赤外発光するLEDも開発した。これは青色のLEDチップに同社が開発した特殊な蛍光体を載せたもので,波長は最高 2000nmまで広がる可能性があるとしている。同社ではこの製品を簡易な食品分析などに使えないかとしている。