富士キメラ総研は,ディスプレーデバイスの関連部品・材料の世界市場を調査した。その結果を報告書「2016 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(下巻)」にまとめた(ニュースリリース)。
この報告書では,OLED関連部材8品目,LCD関連部材19品目,OLED/LCD共通関連部材8品目,タッチパネル関連部材10品目の市場の現状と今後の動向をまとめた。
そにれよると,OLED関連部材8品目の市場は,2015年に前年比44.7%増の922億円となった。Samsung El.のほか,中国スマートフォンメーカーにもAMOLEDの採用が広がったため,部材需要が増加した。2016年はスマートフォン向けが引き続きけん引し前年比16.2%増が見込まれ,2017年以降はTV向けも本格化し,2021年には2015年比2.8倍の2,607億円を予測する。
市場構成比が最も高い低分子発光材料は,将来的には使用効率の改善(パネル面積当たりの需要量の減少)により伸びが鈍化していくとみる。塗布での膜形成に対応できる高分子発光材料は,2018年から市場が立ち上がると予想する。
LCD関連部材19品目の市場は,2015年に前年比10.1%増の4兆2,367億円となった。TV用パネルやスマートフォン用パネルで台頭する中国パネルメーカー向けが市場拡大をけん引した。また,スマートフォン用バックライトの薄型化や高輝度化,また,TVやスマートフォン用ディスプレーの広色域化に寄与する高付加価値部材の需要が拡大した。
しかし,以降はTFTパネル出荷面積の拡大ペースが鈍化し,2021年には2015年比20.2%減の3兆3,802億円が予測する。
TV用バックライトユニットは,一部のハイエンド機種を除いて薄型に優れるエッジ型から,より低価格な直下型へシフトしていくとして,2015年から2021年の年平均成長率はマイナスを予想する。一方,量子ドットコンポーネントは,Samsung El.がLCD-TVに採用したことにより,2015年に市場が急拡大した。中国メーカーも続いて採用しているため,今後プラス成長が期待される品目だとしてる。
OLED/LCD共通関連部材8品目の市場は,2015年に2兆9,670億円,前年比0.6%減と僅かに縮小した。2016年は為替変動の影響もあり前年比15.7%減が見込まれ,以降,微減・微増を繰り返し,2021年には2015年比14.6%減の2兆5,338億円を予測する。
ブラックレジスト・ブラックカラムスペーサー以外の品目は,2015年から2021年の年平均成長率がマイナスとなるという。ブラックレジスト・ブラックカラムスペーサーは,フォトスペーサーとブラックレジストの機能を兼ね,工程数の削減に寄与するブラックカラムスペーサーの採用が増加し,年平均成長率はプラスとなるとした。