阪大ら,重力マイクロレンズで系外惑星をカウント

大阪大学,名古屋大学,NASAを中心とするMOAグループは,天の川銀河の中心方向で発生する重力マイクロレンズ現象を観測することで,太陽以外の星の周りを回る惑星(系外惑星)のうち,特に冷たい惑星の中では海王星質量(17倍地球質量)程度の惑星が最も多いことを世界で初めて明らかにした(ニュースリリース)。

これまでの方法では,水などが凍ってしまう温度に相当する距離である氷境界よりも主星から離れたような惑星を検出することは困難だった。一方,今回の研究で用いた重力マイクロレンズ法では,氷境界より外側を回る冷たい惑星を検出することができる。

研究グループは,重力マイクロレンズ現象を利用した太陽系外惑星の探査を行なっている。この現象は,アインシュタインの一般相対性理論が予言する「光が重力によって曲がる」という性質のために起こる。ある星(背景星)の前を偶然別の星(レンズ星)が横切るとレンズ天体の重力によって背景星からの光はあたかもレンズを通ったかのように曲げられて集光し,背景星は突然明るくなったように見える。

太陽の様な星がレンズ星となると数十日程度の間に,単調に明るくなって,また同じ時間をかけて元の明るさに戻っていく。しかし,もしこのレンズ星(主星)の周りに惑星があると,その惑星の重力の影響で単調でない増光や減光が余分に加わる。この余分な増光減光を見つけることで,そこに惑星があることがわかる。

今回の研究では,2007-2012年に取得した6年間の観測データから22個の惑星を検出し,それぞれの惑星系において主星に対する惑星の質量比を測定した。さらに,統計的手法を用いることで,どのような質量比の惑星がどの程度あるのかという分布を見積もった。

研究グループは初めて,銀河系中心方向の数千万の星を15分に一回観測するという特殊な観測手法を実践した。この高頻度な観測により,海王星よりも軽い惑星を検出することができ,冷たい惑星の質量比の分布を明らかにすることができた。従来は,軽い惑星ほど単調に数が増えると思われていたが,海王星質量以下で数が減り始める事が初めて分かった。

太陽系を含めた惑星形成過程の研究において,これまで発見されている惑星は,比較的主星に近いものばかりで,外側の惑星は巨大惑星しか見つかっていなかった。太陽系以外の惑星系にどのような質量の惑星がどの程度存在しているのかを明らかにすることは,太陽系が普遍的なのかどうかを知るために非常に重要となる。また,惑星形成過程も明らかにすることができるという。

氷境界のすぐ外側では,惑星となる材料が最も多いため,惑星が最も効率よく形成される場所と考えられている。この領域に存在する冷たい惑星,特に土星(95倍地球質量)よりも軽い惑星に対する調査を行なえるのは,重力マイクロレンズ法だけだという。特に,軌道半径の大きい惑星を発見するのは他の方法では難しく,今後さらに多く惑星を発見し、惑星形成の理解が深まるだろうとしている。

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