三菱化学は,フィンランドの五ツ星レストラン Ravintola Savoy(Savoy)との間で,同社の完全人工光型植物工場システム「Plant Plant™」の実証試験および共同マーケティングを実施する(ニュースリリース)。
「Plant Plant™」は,LED照明や自動化設備など,同社の関連技術を全て搭載したシステム。LED照明の光で植物の光合成を促す完全人工光型で,光のほかにも温度,湿度,養分などの育成環境を最適な状態に制御することにより,気候に左右されることがなく,年間を通じて同じ品質の野菜を栽培することができる。また,収穫,混合,計量,包装などを全て自動化し,土を使わない水耕栽培で,かつ農薬を使用しないため,洗わなくても食べられる安心・安全な野菜を育成できる。
Savoyは1937年に開業したヘルシンキ有数の老舗高級レストラン。2010年からレストランのルーフトップガーデンテラスで,自家製マイクロハーブや食用花など年間で50種以上の植物を栽培・収穫し,提供する独自のメニューに使用している。
しかし,ヘルシンキの冬は非常に厳しく毎年10月~5月の間はテラスでの栽培が不可能で,冬のシーズンはメニュー変更を余儀なくされていた。Savoyは来年開業80周年を迎えるが,その記念事業の一環として同社のディスプレー型植物工場システムを店内に導入し,通年でハーブや食用花を栽培,メニューへの採用を見込む。
11月下旬に播種を行ない,約3週間後には収穫の見込みとなっており,収穫されるマイクロハーブや食用花は,大晦日のディナーから提供される予定。一方,同社はSavoyから栽培データや顧客の反応などのフィードバックを受け,新品種の共同開発および栽培方法の確立に取り組むとともに,「Plant Plant™」の北欧エリアでのプレマーケティングも開始する。