天文台ら,太陽系外惑星の「影」の観測に成功

国立天文台,東京大学,自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンターを中心とする研究グループは,生命がいるかもしれない太陽系外惑星「K2-3d」のトランジット現象(惑星が主星の手前を通過する現象,言わば惑星の”影”)を地上の望遠鏡で初めて捉える事に成功した(ニュースリリース)。

これは,国立天文台 岡山天体物理観測所の188センチメートル望遠鏡と系外惑星観測用の最新装置MuSCAT(マスカット)を利用したもの。

K2-3dは,約150光年先に発見された,地球の1.5倍の大きさをもつ太陽系外惑星。地球と比べると主星にかなり近い軌道(地球と太陽の距離の約5分の1)を公転しているが,主星の温度が太陽より低いため,地球に似た較的温暖な環境をもつと考えられており,生命が存在する可能性もあると考えられている。

また,K2-3dは主星の手前を通過(トランジット)する軌道をもち,惑星が主星の一部を隠すことで生じる主星の一時的な減光が周期的に観測される。このような惑星では,主星の減光の大きさ(減光率)を様々な波長の光で精密に測定することで,惑星がもつ大気の成分を調べることができる。

K2-3dのトランジットによって生じる主星の減光率はわずか0.07%と非常に小さいが,次世代の大型望遠鏡を利用することで,減光を精密に捉え,惑星の大気中に生命由来の分子(酸素など)を探ることができると期待されている。しかし,これまでの宇宙望遠鏡による観測だけでは,惑星の軌道周期が精度良く求まらず,将来起こるトランジットの時刻を正確に予測することができなかった。

研究チームは今回,地上の望遠鏡で捉えられるぎりぎりの大きさであるK2-3dの減光率を,MuSCATがもつ,3つの波長帯で同時かつ高精度に観測ができるという高い能力によって検出を可能にした。これにより,惑星の軌道周期を誤差約18秒という高い精度で測定し,将来のトランジットの予測時刻の精度を大幅に高めることに成功した。

今回の成果で,次世代の大型望遠鏡を用いてこの惑星の大気を調査できる見通しが高まり,今後,地球外生命探索に繋がる重要な足がかりが得られたとしている。

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