ルネサス,100Gb/s向けDFB LDを発売

ルネサス エレクトロニクスは,データセンター内に設置されるサーバーとルーター間の通信に用いられる100Gb/s光トランシーバー用光源に,25Gb/s×4波長対応直接変調型DFB LD(分布帰還型レーザ・ダイオード)を開発した(ニュースリリース)。同社はこの製品を「NX6375AAシリーズ」として量産出荷を開始する。

チップ形態での出荷となり,サンプル価格は1波長あたり5,000円(税別)で,量産は2017年4月に4波長合計で月産10万個を計画している。

この製品は,高速通信と高温環境下での安定動作の両立が課題となる100Gb/sの高速ネットワーク向け光トランシーバーに対し,(1) 業界で初めて-5℃~85℃の動作温度において1波長あたりの容量が最大28Gb/sとなる安定動作特性を量産レベルで実現し,4波長使用することにより100Gb/sの光通信が可能,(2) MTTF(Mean Time To Failure:平均故障時間)10万時間の高信頼性,という特長を有している。

同社によれば,データセンター内のサーバーとルーター間の通信に用いられる光トランシーバーにおいては,現在主力の40Gb/sから切り替わっていく100Gb/sのシステムが,年率75%の伸張率で立ち上がるとしている。

しかしながら通信速度に比例して高まるシステムの発熱は,システムの稼働状況を不安定にする恐れがあるため,ネットワークの高速化においては,高速通信と高温環境下での安定動作の両立が,光トランシーバーにとっての大きな課題となっている。

同社は光通信の速度が10Gb/sであった2004年より同分野に向けて半導体レーザーダイオードを市場投入してきた。新製品は今後の通信システムの主力となる100Gb/sのシステムに対応し,上記の課題を解決し,ユーザーの光トランシーバーの高速化と高温安定動作を実現するとしている。

新製品は,4波長使用での100Gb/sシステムはもちろん,112Gbpsシステムにも対応可能。また,LD素子に独自の埋め込み構造および材料にAlGaInAsを採用し,DFB構造を最適化することで広い動作温度Tc=-5℃~85℃下で最大28Gb/sの高速伝送を実現した。

波長は,CWDM方式の波長間隔対応の1271nm,1291nm,1311nm,1331nmの4種類となっている。

また,データセンターの環境下で安心して使用できるよう,ウエハの結晶成長において狭幅選択成長技術を用い,発光層の結晶欠陥を抑制しAl酸化防止層を形成(独自技術)。製造中にAlの酸化を抑制できるため,LD素子のMTTFは業界トップレベルの10万時間を実現した。

同社は今後,積極的に100Gb/s高速光通信用の製品ラインアップを拡充する計画。レーザーダイオードの開発において,無線基地局用途などに必要とされる動作温度範囲に対応するため低温側の動作温度拡大を検討する。さらに,高速光信号の受光デバイスやマイコンなどの当社他製品と組み合わせにより,より付加価値の高いソリューション提案を行なう。

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