矢野経済研究所では,IP(ネットワーク)カメラ及び画像解析・VCA(Video Content Analysis)システムにおける国内・世界市場の調査を実施した(ニュースリリース)。
それによると,2015年のIP(ネットワーク)カメラ国内市場規模は,メーカー出荷台数ベースで前年比12.7%増の78万台。IP(ネットワーク)カメラとはIP機能を内蔵し,単独でインターネット網に接続して使用可能な業務用カメラで,主に監視カメラとして使用されている。国内監視カメラ市場のうち,約6割がIPカメラだという。
2016年のIPカメラ国内市場規模は,メーカー出荷台数ベースで前年比14.1%増が見込まれるなど,今後も14%以上の成長率を予測する。特に2018年,2019年には,東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた需要増もあり,大きく成長するものと予測している。
また,IPカメラの主な用途である監視・モニタリングに加え,マーケティング分野におけるカメラ需要の拡大や,クラウド型カメラサービス(サービス事業者がクラウドを活用して監視・モニタリング・ライブ映像の管理・録画・画像解析を行なうサービス)需要も期待されるとしている。
一方,IPカメラ世界市場も高成長を継続している。2015年の世界IPカメラ市場規模はメーカー出荷台数ベースで,前年比27.5%増の862万台であり,今後も高い成長を予測している。
IPカメラ市場における成長要因の中でも,とりわけ注目されているのは画像解析・VCA(Video Content Analysis)システム分野だとしている。画像解析・VCA システムは,映像データを数値化し,当該事象を分析するためのシステム。当初,画像解析・VCA システムはアナログ監視カメラから IPカメラへの移行に伴う,付加価値の高い解析アプリケーション(顔認証,人流計測,異常行動検知)とされていた。
しかし現在では,POSレジと連動させたマーケティング分析や,入退室管理と連動させたセキュリティコントロール,RF-ID等の他システムとの連携などが展開されるようになり,多様な分野において画期的なソリューションをもたらしているという。
こうしたソリューションはFA(Factory Automation)やマシンビジョン,インダストリー4.0,医療,自動運転などの分野においても期待されており,画像解析・VCA システムは,いよいよ普及期に向かうものとしている。