東レは,独自のバリア膜形成技術をベースに,同社現行品と同等の水蒸気バリア性を有しながらも,フレキシブル性を向上させたハイバリアフィルムを開発した(ニュースリリース)。
2016年10月より,フレキシブル有機ELディスプレーやフィルム型センサー,電子ペーパーラベルなど,耐湿性と耐屈曲性が求められる幅広い分野に向け,サンプルワークを開始する。
同社はこれまで,ハイバリアフィルム「バリアトップ®04」を上市してきた。この製品は水蒸気透過率が10-4[g/m2・day]レベルという高いバリア性能を持ちながらも,バリア膜の厚みは薄く,曲げたときに割れにくい。しかし最近は,ウェアラブルセンサーなどの開発がすすんでおり,ハイバリアフィルムでは更なる耐屈曲性を求められることが予想される。
そこで同社は,屈曲半径を小さくするため,バリア膜を薄くすることに着目。柔軟性に優れた材料を開発し,バリア膜の緻密化を進めることにより,水蒸気透過率は,同社現行品と同等の10-4[g/m2・day]レベルを維持しながらも,バリア膜厚を大幅に薄くすることが可能となった。
この技術により,屈曲半径1mmでも高い性能を持つハイバリアフィルムが得られることを確認している。また,バリア膜厚を薄くすることにより,バリアフィルムの反り(カール)をほぼゼロに抑えることもできたという。
今回のバリア膜は多様なフィルムに対して加工適性が優れているおり,今後は同社グループの高機能基材との組み合わせでさらに新しい機能を開拓していくとしている。
さらに同社では現在,膜厚100nm以下で究極のバリア性と言われている10-6[g/m2・day]レベルのバリア性能を達成する技術を研究している。