阪大ら,トポロジカル近藤絶縁体の特異な状態を発見

大阪大学,自然科学研究機構分子科学研究所,仏Synchrotron SOLEIL,高エネルギー加速器研究機構,広島大学,茨城大学らの研究グループは,希土類ホウ化物YbB12の単結晶表面を原子1個レベルで平坦化・清浄化する技術を開発し,その表面電子状態を電子スピンや軌道対称性を分けて測定した結果,この物質が理論的に予測されていたトポロジカル近藤絶縁体(TKI)と呼ばれる状態であることを発見した(ニュースリリース)。

研究では,結晶劈開の困難さ等からこれまで清浄表面が得られていなかったYbB12単結晶について超高真空中で加熱することで清浄面を作製し,その電子状態を角度分解光電子分光(ARPES)法により観測した。

さらに得られた表面電子状態のスピン及び軌道角運動量偏極構造についても,スピン分解ARPES及び円二色性ARPESにより調査した。

以上の結果から,近藤絶縁体YbB12の表面において,低温の絶縁相にTSSが出現し,YbB12がTKIとなっていることがわかった。

今回新たに発見した近藤絶縁体表面のTSSについて,詳細な表面原子構造の決定やそれに基づく理論計算との比較,あるいは表面原子1個ずつに焦点を当てた局所的な電子状態の解析を進めることで,候補物質が少ないためにこれまで理解が不十分だったTSSと強い電子相関の関係についての研究を大きく進展させることができるという。

このような強い電子相関物質上のTSSは,例えば次世代の半導体素子における無散逸電流による省エネルギー化やスピントロニクス素子の実現などとともに,これまで予測すらできていなかった新しい機能性の発現にも繋がるものだとしている。

関連記事「理研ら,トポロジカル絶縁体表面で高効率スピン流を生成」「理研,トポロジカル絶縁体の量子化磁気光学効果を観測」「岡山大,トポロジカル超伝導体を実験的に証明

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