北大ら,超小型衛星での高解像度撮影に成功

北海道大学と東北大学は,フィリピン科学技術省(DOST),フィリピン大学ディリマン校(UPD)と共同で開発した,超小型衛星「DIWATA-1」に搭載されている高精度望遠鏡(HPT)での撮像に成功した(ニュースリリース)。

「DIWATA-1」は,北大が,東北大,DOST,UPDと共同開発した超小型衛星で,日本国内で開発・製作された海外向けの50kg級超小型衛星として,初めて宇宙に打ち上げらた。開発期間は約1年で,開発資金は全てフィリピン共和国が負担した。

この衛星には,魚眼カメラや地上解像度3mの望遠鏡など,倍率の異なる4種類の撮像装置が搭載されており,台風や集中豪雨等の気象災害の監視から,農業,漁業,森林,環境モニターなど,多様なリモートセンシングに活用される。本年4月27日の国際宇宙ステーション「きぼう」からの放出以降,順次これらの撮像装置の運用を進めてきた。

5月19日にはフィリピンのミンダナオ島を,地上解像度約3mのRGBカラー画像で捉えることに成功した。さらに,6月30日には米国フロリダ州郊外での観測を実施した。植生が強調されるように近赤外バンドの画像を処理する観測のために,衛星本体の姿勢をコントロールして特定の場所にカメラを指向させる,ターゲットポインティングという高度な手法を用いた。

今回の高解像度撮影の成功は,高頻度での高解像度撮影の可能性を証明しただけでなく,超小型衛星による数10バンド以上での高解像度スペクトル撮影を実現する唯一の有力な手法を確立したものだとしている。

今後は世界の任意の場所を高頻度(平均して日に2回)で高解像度撮影する技術のさらなる精度向上を目指すと共に,世界最多となる波長選択性を持つ,宇宙用液晶フィルターを用いたスペクトル撮影に挑戦していくという。

これらの手法が確立すれば,農業,水産業,森林管理,資源開発,災害監視などで,観測頻度の飛躍的増加と取得されるスペクトル情報の精度向上につながることが期待される。

このHPTの他にも,北大・東北大が2014年に打ち上げた「雷神2衛星」に搭載された液晶スペクトルカメラの改良型は,大型衛星を含め世界最高クラスの590バンドでの撮像が可能であり,次世代の安価で高精度な宇宙利用を拓くものとしている。

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