東北大ら,二重ベータ崩壊によるニュートリノ研究成果を発表

東北大学ニュートリノ科学研究センターが東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) などの国内外の研究機関と連携する国際共同研究グループ「カムランド禅コラボレーション」は,ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊を探索する「カムランド禅」実験における最新の観測結果を公表した(ニュースリリース)。

ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の観測はマヨラナニュートリノを証明する最も有力な実験的手法で,現在世界中で激しい競争が繰り広げられている。

ニュートリノ検出器として既に極低放射線環境を実現していた研究グループでは,液体シンチレータ中にキセノンガスを溶かし込むことで,2011年にニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊探索プロジェクト「カムランド禅」を開始した。

2013年には世界最高感度での探索で,マヨラナニュートリノ質量0.3電子ボルトを示唆していた先行実験の主張を否定し,さらに小さな質量領域の探索ではマヨラナニュートリノの発見だけでなくニュートリノ質量の階層構造を決定する可能性もあるため,さらなる研究の進展に注目が集まっていた。

今回の発表の中で研究グループは,キセノンの同位体(キセノン136,136Xe)の半減期測定において以前の競合実験よりも10倍厳しい制限を達成したと発表した。

これまでニュートリノ質量型について3つの可能性が許されていたが,カムランド禅においてマヨラナニュートリノ質量を世界最高感度で検証したことにより,その内の1つである準縮退型が大きく排除された。

今回カムランド禅の実験手法の優位性を示したことで,本年10月開始予定の次期計画「カムランド禅800」,さらに検出器を高性能化する将来計画「カムランド2禅」においてニュートリノの質量階層構造を検証する感度が期待されるとしている。

関連記事「東工大ら,広い温度範囲でマヨラナ粒子の創発を発見」「NIMS,マヨラナ粒子の存在証拠を提示」「OPERA,5例目のタウニュートリノ反応を検出」

キーワード:

関連記事

  • カバーガラスブランドStarveil™の新製品「BDX-3」

    日本電気硝子、宇宙用超薄板カバーガラス「BDX-3」を開発 波長300nmの透過率を0.1%に減

    日本電気硝子は、宇宙用超薄板カバーガラス「Starveil(スターベイル)」の新製品「BDX-3」を開発し、有償サンプルの販売を開始した(ニュースリリース)。放射線による着色を抑えるとともに、従来品「BDX-2」と比較し…

    2026.10.23
  • ノーベル賞のIceCube、忘れてならない千葉大チームの貢献

    2026年10月6日、2026年のノーベル物理学賞に、米ウィスコンシン大学マディソン校のフランシス・ハルツェン教授が選ばれた。授賞理由は「IceCube(アイスキューブ)ニュートリノ観測所への決定的な貢献と宇宙起源の高エ…

    2026.10.08
  • ノーベル賞2026を光技術と材料から振り返る 光遺伝学、IceCube、分子の「右と左」

    2026年のノーベル賞は、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学3賞が出そろった。研究対象は脳、宇宙、化学反応とそれぞれ異なるものだったが、光技術という側面から眺めると興味深い共通点が見えてくる。光は、生命現象を操作…

    2026.10.07
  • 【解説】IceCubeにノーベル賞、高エネルギーニュートリノ発見に貢献した日本の企業

     2026年のノーベル物理学賞は、南極のIceCubeニュートリノ観測所への決定的な貢献と、天体起源の高エネルギーニュートリノの発見により、米ウィスコンシン大学マディソン校のFrancis Halzen氏に授与された。I…

    2026.10.07
  • 【解説】何が評価されたのか アイスキューブと光検出技術の役割

    スウェーデン王立科学アカデミーは2026年10月6日、ノーベル物理学賞を、米ウィスコンシン大学マディソン校のFrancis Halzen氏に授与すると発表した。南極のニュートリノ観測施設「IceCube Neutrino…

    2026.10.06

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア