京大,分子の向きが揃った結晶氷のメカニズムを解明

京都大学は,白金表面上に結晶成長させた氷薄膜中の水分子の特異な配向構造と,その熱力学的安定性を世界で初めて解明することに成功した(ニュースリリース)。

水分子は2個の水素原子と1個の酸素原子からなる分子であり,結晶氷は多数の水分子が互いに水素結合のネットワークを組んで規則正しく配置されている。しかし,通常の結晶氷では個々の水分子の向きは揃っておらずバラバラな方向を向いており,従来は配向の揃った結晶氷は72K(約-200度)以上の温度領域で存在できないと考えられてきた。

そこで研究グループは,白金表面上に結晶氷を成長させ,二次非線形光学効果である和周波発生法にヘテロダイン検出法を組み合わせた分光手法を用いて,白金基板表面上に結晶成長させた氷薄膜中の水分子の配向構造を調べた。

その結果,白金表面直上の水分子が水素原子を白金原子に向けた状態で配列し,その上の水分子の配向も同様に秩序化していることが明らかになった。さらに,この結晶氷中の水分子の配向秩序は72Kよりも倍以上も高温の175K(約-98度)まで保持されることが判明した。これは,従来の定説を完全に覆すものだという。

この研究の成果により,175K以下の温度環境下にある地球の極域上空や宇宙の広大な領域において,塵などの異種物質を核として凝集した氷は水分子の配向が揃った状態にある可能性が示された。

これは,氷という我々に身近な物質の新しい性質を解明し,向きの秩序をもった氷が地球の極域上空や宇宙に偏在している可能性を示すもの。これは,極域上空や宇宙で起こっている,氷の表面を舞台とした化学反応のメカニズムを分子レベルで解明する際の重要な知見となるとしている。

関連記事「東北大ら,酸化物ガラスで特異な結晶成長と配向組織形成を観測」「OIST,氷中の陽子の振る舞いを解明」「北大,レーザー共焦点顕微鏡で氷表面の水膜を観察

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