オン・セミコンダクターのセンサー,木星を撮影

オン・セミコンダクターの「KAI-2020」イメージセンサーを使用した「JunoCam」を搭載したNASAの木星探査機ジュノーは,木星の画像の撮影に成功した(ニュースリリース)。

木星探査機ジュノーは2011年8月の打ち上げ後,地球から木星まで約28億キロメートルの長距離を旅し,ようやく米国時間7月4日に木星に到達した。

ジュノーの計測装置は,木星の起源と進化を明らかにすることで,太陽系の起源をより良く理解するために設計された。探査機には,木星の大気の水分量を判断し,大気に深く浸入して成分,温度,雲の動き,その他の特性を測り,木星の内部構造を明らかにすべく磁場と重力場を地図化し,木星の極近くの磁気圏を探求および研究するために,9種類の計測装置が搭載されている。

それらの装置の1つがJunoCamであり,軌道から木星の雲頂カラー画像を初めて撮影する。このミッションの画像の課題は困難で,長楕円の11日間の周回では,ジュノーと木星の雲頂との距離は,270万キロ~5000キロまで変化し,木星に最接近したときだけ,おおまかにJunoCamの視野に入る。

また,軌道周回機(およびカメラ)は1分間に約2回転するため,画像のボケを防ぐためにTMD(時間遅延積分)を使用してセンサーが操作される。カラー画像の再構成のために青(420~520nm),緑(500~600nm),および赤(600~800nm),そして889nmを中心とする狭いメタンの画像を捉えるため,880~900nmの4種類の周波数帯でデータを撮影する。

そして,最接近時の解像度は(探査機ボイジャー,ガリレオ,およびカッシーニよりも1桁優れた)3キロメートルであり,大気中の小型の構造物を捉えることができるとしている。

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