阪大ら,パワーレーザーで鉄原子配列の変化を観察

大阪大学と仏エコールポリテクニークならびに仏国立科学研究センターを中心とする日仏英の研究グループは,レーザーを用いて地球の核にも相当するような超高圧状態を生成し,超高圧環境下で鉄の結晶構造が高速に大きく変化することを初めて実証した(ニュースリリース)。

鉄は,人類にとって非常に馴染みの深い金属で,これまで最も調べられてきたと言っても過言ではないが,その超高圧下の振る舞いには未だ多くの謎が残されている。

特に,ダイナミックな超高圧下の構造変化そのものを直接見ることはこれまで極めて困難だったが,研究グループはパワーレーザーショック超高圧法とX線分光技術を応用した独自のX線回折イメージングによって直接観察し,200万気圧に迫る超高圧下でその構造を明らかにすることに成功した。

この実験は,大阪大学レーザーエネルギー学研究センターのハイパワーレーザー激光XII号およびエコールポリテクニークLULI研究所のLULI2000を用いて行なわれた。

超高圧超高温域の惑星深部環境において様々な物質構造を生成し,調べられることが証明されたことから,物質科学や惑星科学の世界に新たな可能性が開かれるとともに,パワーレーザーを用いた極短時間の超高圧法で,新物質や新構造,新物性などを発現させる,いわば「惑星深部環境を利用した物質工場」のような夢のある応用が期待されるとしいている。

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