凸版,EUV向け3次元遮光構造付きフォトマスクを開発

凸版印刷は,次世代半導体製造技術であるEUV露光において,周辺部への不要な光の反射を抑え,最先端半導体に対応した次世代EUVフォトマスクを開発した(ニュースリリース)。

2016年度内に半導体メーカーへのサンプル出荷を行なうとともに,2017年度の本格的な量産を開始する予定。今後,この技術を活用し次世代EUVフォトマスクの業界標準化を目指す。

ビックデータの分析や人工知能の利用,自動車の自動運転技術の実用化など,半導体の高性能化のニーズが高まるなか,次世代の半導体製造技術であるEUV露光に注目が集まっている。EUV露光が実用化されることで,半導体の微細化が進み,現在よりも小型・高速・低消費電力のプロセッサーを製造することが可能となる。

EUV露光による半導体の製造プロセスでは,光源からの光がEUVフォトマスクによって反射され,シリコン基板上にパターンを形成する。光源からの光には,パターニングに必要なEUV光だけでなく,パターニングに不必要な様々な波長の光(アウト・オブ・バンド:OOB光)も含まれている。このOOB光によりシリコン基板上のパターン周辺部分が正確に形成されないという問題があった。

この問題を解決するため,同社はEUVフォトマスク上のパターン外周部に配置され,EUV光の不要な反射を抑える遮光帯とよばれる部分に改良を加えた。同社の微細加工技術や光学設計技術を発展・融合させ,特殊な3次元構造をEUVフォトマスク上の遮光帯部分に製作し,より光源からの光を制御した次世代EUVフォトマスクを開発した。周辺への不要な光の反射を抑える構造をEUVフォトマスクの表面に作製し,パターン周辺部分の微細化を実現した技術は世界初となる。

同社はこれまでも最先端フォトマスクを提供することで半導体メーカーの最先端プロセスの立ち上げから量産まで支援してきた。EUVフォトマスクにおいては,2012年に業界標準となっている従来のEUVフォトマスクを開発し,今回は微細化を進めた次世代EUVフォトマスクの開発に成功した。