京都産業大学では,大学・教学改革を進めるため,開学(1965年)と同時に設立した理学部の「教育」,「研究」,「社会・地域貢献」の充実を図り,2016年度より理学部に「宇宙物理・気象学科」を開設する(新学部紹介HP)。
同大学 理学部の物理科学科は,理論物理学・実験物理学(物性・物質)や宇宙物理学・気象学にまたがる幅広い領域の教育研究を展開してきた。こうした学問分野においては,物理学の基盤科目である力学,電磁気学や数学を共通の素養とするものの,各分野の必須の素養である専門発展科目においては異なる教育体系を要し,カリキュラムの齟齬が問題となっていた。
また,それぞれの分野の急速な発展・多様化や社会の物理学への要請に対して,現在の体制では十分に対応できない懸念もあったことから,こうした状況に適切に対応し,基礎を重視する教育研究をさらに進めるため,ミクロな現象を通じて物理学を学ぶ物理科学科に加えて,よりスケールの大きな地球大気から宇宙空間の物理現象を通じて物理学を学ぶ宇宙物理・気象学科を設立する。
観測を通して宇宙における様々な現象を正確に捉え理解するには,観測・測定機器等のハードウェアに精通し,高度なデータ処理・分析能力を有することが不可欠となる。こうした体験に基づく総合的問題解決能力を育んだ人材が現代社会の様々な局面で必要とされていることを鑑み,宇宙物理・気象学科では,このような能力を持った理系産業人を育成することを目指す。
また,異常気象や地球温暖化などの人類の生存基盤を脅かす様々な気象現象を,地球のみならず太陽系惑星も含めた広い見地から理解・解明し,解決の方策を探ることが社会から要請されており,このような課題に立ち向かう志を持った学生を育成することを目指す。
想定する進路として,公的天文台・科学館の学芸員,防災に関わる地方公共団体,気象庁,気象関係の民間企業,農業をはじめとする第一次産業・小売業・流通業等の気象情報に大きく影響される民間企業,情報系技術者,メーカー(光学機器,制御機器等),中学校・高等学校の教員,大学院進学などを挙げている。