早大ら,岩石切断用ファイバレーザを搭載できる災害対応ロボットを開発

早稲田大学と菊池製作所は共同で,複雑な地形をした場所や狭い災害現場などで人命救助・瓦礫除去等で活躍できる,4本の腕と4輪(台座部分除く)のクローラで動作する小型無人作業ロボット「Octopus(オクトパス)」を開発した(ニュースリリース)。

8本の手足を駆使するタコから連想して名付けられた「オクトパス」は高さ1.7m,重さ700㎏のロボット。岩石切断用のファイバレーザや瓦礫や廃棄物等をつかむグラップルなどを装備可能で,地震,津波,噴火等の災害現場で崩壊した建物から人を救うことや,原子力発電所の廃炉作業等,幅広い用途を想定して開発された。

従来のこうしたロボットは大規模作業向けで,平坦地での単一作業が中心だったが,オクトパスは4輪のクローラを駆使して狭くて段差が複雑な瓦礫の山を移動,油圧ポンプ出力で4本の腕を同時に使い,瓦礫分別処理や消火作業,倒木除去など,複雑な作業も行なえる。

大きな段差を乗り越える時は後ろ2本の腕で体を支えながら,クローラと前2本の腕を使ってよじ登るほか,腕一本当たり200kgのものを持ち上げられるので,4本の腕を使えば自分自身を地面から浮かせるなどの動作もすることができる。4本の腕を同時に動かすことができるロボットは世界的にも珍しく,現状では2人で遠隔操縦するが,将来的には1人で操縦できるようになるという。

【4月1日追記】
「オクトパス」に搭載するファイバレーザについて早稲田大学理工学研究所・研究院講師 石井裕之氏より以下の質問に対して回答を得た。

(1)ファイバレーザの最大出力値
-波長は1080nm。現状は1kWだが,出力を10kW程度に上げていく予定。

(2)岩石切断時のレーザ照射距離(最大値)
-現状は光学ヘッド先端から29mmの位置で集光させているが,出力を拡大後,コリメート式に変更していく予定。

(3)発振器はロボットに組み込まれているのか,あるいは電源ともに発振器は別の場所に設置して伝送させているのか?
-発振器を別の場所に設置し,ファイバで伝送させている。

(4)採用したファイバレーザのメーカは?
-フジクラ。

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