SCREENホールディングスと大阪大学は,太陽電池の瞬間的な発電状態を計測し可視化する「レーザーテラヘルツエミッション顕微鏡(以下,LTEM)技術」を搭載した太陽電池評価システムの装置化に成功した(ニュースリリース)。この装置を再生可能エネルギー分野の世界的な研究開発拠点「福島再生可能エネルギー研究所」へ設置し,最先端の太陽電池研究開発に利用する。
この装置は,約100フェムト秒という極めて短い時間のレーザパルスを半導体,超伝導体,強誘電体などの材料やデバイスに照射することにより発生するテラヘルツ波を検出し,可視化できる顕微鏡。
商用太陽電池の約80%を占める結晶シリコン太陽電池は,発電時にさまざまなエネルギー損失が発生することが課題のひとつとなっている。そのため,瞬間的な発電状態の変化が,エネルギー変換や損失に与える影響を検証することができれば,発電効率を高める研究開発につながると考えられている。
こうした理論を実証する有効な方法として,研究グループは2011年10月,LTEM技術を用いて太陽電池から発生するテラヘルツ波を計測し,1兆分の1秒という極めて短い発電状態の変化を可視化することに世界で初めて成功。その後もこの技術の実用化に向けて研究開発を進めてきた。
今回,LTEM技術による太陽電池評価システムの装置化を実現し,再生可能エネルギー分野の世界的な研究開発拠点「福島再生可能エネルギー研究所」に設置することになった。
研究すグループは今回の取組みを通じて,「福島再生可能エネルギー研究所」での太陽電池分野の総合的な研究開発に寄与するとともに,今後は,研究で蓄積されたノウハウを応用し,テラヘルツ波の検出・分析技術を駆使した新たな分野への技術展開を目指すとしている。