長峰製作所(香川県仲多度郡)は香川県産業技術センターと共同で,可視光遮蔽性白色セラミックスを開発した。
400 nm~ 800 nmの可視光に対し,内部に浸透する光を吸収し,透過や内部散乱を防ぐというもので,レーザ変位計のマスターゲージとしての用途を想定している。
レーザ変位計は,対象物の最表面から反射された光を検知して変位を測定するものだが,一般的な白色セラミックスを基板として使用した場合,光は内部へ透過し,散乱した光が検出されてしまうという問題がある。これが結果として変位測定の精度低下につながる。
同社が開発した白色セラミックスの透過率は0.00%で,反射光ノイズを生じることがないため,高精度な変位測定を可能にする。反射率は50%~ 75%となっている。色彩測定におけるL*明度は80 ~ 85,a* 赤-緑は–1.0 ~0.5,b* 黄-青は–5.0 ~ 0.5 という。
セラミックスは一般的なアルミナ,ジルコニアなどで構成されており,切削・研磨加工が可能なほか,射出成形により複雑・微細な形状も作製できるとしている。
白色としているのは,「黒色でも透過率を抑制することができるが,反射効率が悪くなる」(担当者)との理由からだ。色むらが無く均一な白色系のため,画像認識システムへの影響を抑えることができるという。また,レーザマーカなどによるシリアルナンバーなどの刻印にも対応する。
機械的特性と熱的特性だが,かさ密度が4.30~5.30 g/cm3,曲げ強さが500~900 MPa,ヤング率が250~320 GPa,ビッカース硬さが1300 ~1450 HV,熱伝導率が10 ~25 W/(m・K),破壊靭性が4.0~5.0 MPa・m1/2となっている。
開発した白色セラミックスはこの1月からサンプル出荷を開始した。同社ではレーザ変位計用マスターゲージ用途以外に,この光遮蔽性の特性を活かした用途も開拓していくとしている。
例えば,散乱光などの微小な光を用いる光デバイス向けパッケージ材料としても有効としている。◇