韓国LEDメーカのルーメンスは,商業施設などの電気設備メンテナンス事業を手掛けるTNホールディングス(東京都中央区)と合弁で,新会社「ルーメンスジャパン」を設立し,日本市
場に参入すると発表した。資本金は2,000万円で,ルーメンスが51%,TNホールディングスが49%を出資。この2月より,本格的な営業展開を開始した。
TNホールディングスは,中核事業会社であるトータルソリューションを中心に,小売チェーン店や商業施設,オフィスビルにおける照明設備や太陽光発電システムの施工,メンテナンス事業を展開しており,照明設備では特にLEDの導入を積極的に提案している。
今回,ルーメンスは日本進出に際し,TNホールディングスの事業と顧客基盤を有効活用することで早期に日本市場でのシェア獲得が可能と判断。これにより,新会社の設立に至った。
ルーメンスは2013年のLED世界市場で8 位(売上高ベース)に位置づけており,月5億個の液晶ディスプレイやモバイル端末向けバックライトユニットを生産している。この供給量は世
界3 位という。
ルーメンスが市場での競争力の源泉としている技術として,①シルバー(Ag)フリーのフリップチップLED構造,②スマートアール(Smart AL)技術,③DOB(ドライバーオンボード)
技術の3 つを挙げている。
①については,発光層と電極基板との間にペーストするAgを不要とし,生産プロセス工程数を削減することで,ローコスト化による競争力の確保につなげているとしている。同社では4 インチサイズのサファイア基板を用い,このシルバーフリーのフリップチップLEDを月1 億個生産しているという。
②は,ヒートシンク部に独自のアルミ加工技術を導入し,熱特性の向上を考慮した薄いフィルムも採用することで放熱性を高めている。③に関しては,AC-DC変換電源装置をIC チップ
化し,基板に直接実装している。
ルーメンスジャパンを通じた今後の展開については,ディスプレイや自動車,産業用照明分野向けにLED製品の販売に注力し,2015 年は5 億円,2016年には20億円の売上を目指すとしている。その販売比率は,2015 年が照明器具が40%,ディスプレイ用途を想定したデバイスが60%,2016年が同30%,70%に設定しており,照明器具に関しては高天井や投光器タイプの高出力(100 ~ 200 W クラス)LED照明システムの製販を狙う。
同社は,2020年の東京五輪開催に向け,日本市場におけるLED照明の需要は一段と増加すると見ており,この需要機会を捉える役割を,今回設立した,合弁会社が担っていくことを明らかにした。◇