日立化成,FPDの薄型化と高精細化に対応する新たな回路接続用異方導電フィルムを開発


日立化成は,フラットパネルディスプレイのさらなる薄型化と高精細化に対応する新たな回路接続用異方導電フィルム(ACF)として「紫外線照射型異方導電フィルム(UVB-ACF)」と「粒子超分散配置型異方導電フィルム(PAL-ACF)」を開発した(ニュースリリース)。

UVB-ACFは紫外線照射により,90℃/5秒(従来比44%低温)という低温短時間接続が特長で,FPDガラス基板のさらなる薄型化に対応する。一方,PAL-ACF(Particle-Aligned Anisotropic Conductive Film)は電極の最小接続回路面積:400μm2,最小隣接回路間距離:5μm(従来比50%面積縮小,29%距離縮小)という微細な回路接続が可能な点が特長で,FPDのさらなる高精細化に対応する。UVB-ACFは2015年1月より,PAL-ACFは2015年4月より順次販売を開始する。

ACFは,FPDのドライバICチップ,フレキシブル配線基板等の回路接続に使用される製品で,熱硬化性樹脂の接着剤に導電粒子を分散した接着フィルム。基板回路とICチップの電極間にACFを挟み、加熱・加圧して実装することによって,上下の電極間に粒子が捉えられ,導電性を確保しながら隣接する電極同士の絶縁性を両立し(異方導電性),多数の微細電極を一括して接続することを可能にした。

現在ではスマートフォン,タブレットPC等のモバイルデバイスにFPDが搭載されているが,さらなる携帯性とデザイン性向上のため,FPDの薄型化が求められている。また,モバイルデバイスのみならず8K4K,4K2Kテレビなどの登場で,より美しい映像を表現するための高精細化も要求されており,特にモバイルデバイスにおいてはドライバICチップとFPDガラス基板の薄型化,回路のファインピッチ化が同時に進んでいる。

これらに使われるChip On Glass用ACFには,パネルの歪みを防止するとともに,高精細接続を可能とする技術的対応が求められていた。同社は2012年より,基盤技術である機能性樹脂・硬化剤設計技術と,粒子分散プロセス技術を応用した新型ACFの開発に着手し,今回2種類の製品化に成功した。