3Dマシンビジョン市場を開拓へ-キヤノンが販売戦略を発表

2014年4月にキヤノンがマシンビジョン市場への参入を表明し,3Dマシンビジョンシステム「RV1100」を発売して約半年が経過したが,この11月に製品の技術と特長,さらに今後の販売戦略を発表した。

 

開発した3Dマシンビジョンシステムはセンサ部分となる3Dマシンビジョンヘッドと,認識処理を行なう3Dマシンビジョン認識ソフトウェアから構成されており,多関節ロボットでピッキングして次工程に部品を渡すプロセスにおいて,パレット内に山積み・バラ置きされた部品の3D位置姿勢を認識・計測するというもの。

製品化にあたって,これまでカメラや事務機の研究開発で培った画像認識技術や情報処理技術を応用。曲面のある部品や形状に特徴の少ない部品,複雑な構造をした部品など,様々な部品に対して高精度な3次元認識を可能とし,部品の認識から約2.5秒でロボットアームを制御するコントローラにデータを送信するという高速化を図った。

同社によると,バラ積み部品の供給は作業者による手作業で行なわれているのが現状で,タクトタイムの短縮化や省人化を図りたいとするニーズが多いという。これは,特に自動車や自動車部品業界において顕著だったようだ。

実際のオペレーションは部品のCADデータの入力と山積みされた部品を撮影するだけで,ロボットが取り上げる部品データをシステムに簡単に登録できる。また,山積み状態が異なる撮影を5回行なうだけで,RV1100側で部品の見え方をCGにより自動的に学習する検出方式を採用。さらに,計測距離データだけではなく,濃淡画像も同時に利用してCADデータをマッチングする方式により,様々な部品に対応させた。

ロボットコントローラへのデータ送信では,現状ロボットメーカによってバラバラの通信仕様だが,主要ロボットメーカのロボットとの接続が可能な通信技術を開発した。RV1100の販売はキヤノンマーケティングジャパン・産業機器販売事業部が手掛ける。

同社ではマシンビジョン事業を既存の半導体製造装置や検査装置,3Dプリンターなどに加えて新たな成長エンジンンとしての役割を担うことになるとしている。引き合い状況では自動車・自動車部品関連分野が全体の半数を超え,次いで電機分野が多い。市場要求の高いワークサイズは45~1,100mmが過半を占めているが,RV1100の計測範囲は最大1,160×1,160×600mmなので十分に対応できるとしている。しかし,次いで多いのが45mm以下であることから,今後小型製品の開発も視野に入れている。

現在は国内市場を先行して開拓しているが,2015年からは海外への市場投入を図るとし,2017年までに年300台の販売を目指す。