岡山大,心筋細胞の力学的特性を測定する技術を開発

岡山大学の研究グループは,マウスの心臓から取り出した一個の心筋細胞の両端を微細なカーボンファイバでピンセットのように挟んで保持・伸展することにより,生体内の心臓の拡張に相当する負荷をかける技術を開発した(ニュースリリース)。

心臓は一心拍ごとに拡張と収縮を常に繰り返しているが,拡張するときには心臓を構成している心筋細胞は伸ばされる。現在,高血圧や心臓弁疾患などは心筋に慢性的な伸展刺激が加わることにより,心肥大・心不全へと移行することがわかっている。しかし,これまでは単一細胞への有効な伸展負荷法がなかったため,伸展刺激が細胞機能にどのような機能変化を及ぼすかを直接検証することが困難だった。

従来の技術では,細胞の保持が弱く,生体内の心臓拡張期に相当する力よりもはるかに少ない力しか負荷することができなかった。今回,研究グループはこの新しい技術を利用して,従来方法では不可能だった伸展領域での心筋細胞の力学的特性を明らかにした。

今後,この技術が伸展刺激から心不全へ移行するメカニズムを解明するための,有用なツールとなることが期待されるとしている。

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