国立天文台ら,金/プラチナ/レアアースといった元素の起源が中性子星の合体時にある可能性を発見

国立天文台・東京大学の研究チームは,金やプラチナ,レアアースといったR過程元素(中性子を素早く(rapid)捕獲する過程で合成された元素)が中性子星の合体の際に作り出された可能性が非常に高いことを明らかにした(ニュースリリース)。これらの元素は,宇宙のどこで作られているのかは同定できていなかった。

研究チームは,R過程元素の1つであるユーロピウムの元素量の変化を各矮小銀河で比べることで,銀河系と銀河系の近く(約80万光年の範囲内)に属する個々の星に刻まれた元素組成の履歴を解読し,R過程元素が中性子星の合体の際に作られ,宇宙空間の広範囲に即座に拡散したと考えると観測結果を矛盾なく説明できることを突き止めた。

中性子星合体現象は,直接重力波を検出できる現象として期待されている。今回の研究に基づくとこれまでよりも正確に中性子星合体現象が銀河内で起こる頻度を見積もることができる。研究グループは,現在建設中の重力波検出装置KAGRAは海外の検出装置との連携によって,2020年代には1ヶ月から2ヶ月に一度の頻度で中性子星合体からの重力波が検出されるだろうと予想している。