理研、アレルゲンで誘導される喘息の新メカニズムを解明

理化学研究所(理研)と東京理科大学の共同研究グループは、ダニ抗原などのアレルゲンで誘導される喘息が、アレルギーを起こす白血球「好塩基球」から産生されるインターロイキン-4(IL-4)を介した2型自然リンパ球(NH細胞;ナチュラルヘルパー細胞)との共同作業によって起こるという新しいメカニズムを明らかにした。(ニュースリリース

人間には、異物から体を守る免疫システムが備わっている。免疫システムは、ときに不都合な反応を起こすが、その1つが「アレルギー」で、発生メカニズムによって5つに分類されている。Ⅰ型アレルギーは、免疫グロブリンE(IgE)抗体によって引き起こされ、IgE抗体は肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球が持つ受容体に結合することで、アレルゲン特異的にアレルギー反応を起こす。

近年、マスト細胞やT細胞だけではなく、好塩基球や自然リンパ球による免疫反応系があり、これら細胞に注目が集まっている。ダニ抗原などに多く含まれるタンパク質分解酵素「システインプロテアーゼ」は、アレルギーを強く誘導するアレルゲンとして働くことが知られている。

このシステインプロテアーゼは、気道上皮から放出されるインターロイキン-33(IL-33)を介して自然リンパ球の1つNH細胞を活性化して喘息を引き起こす。しかし、喘息の発症に関わる好塩基球の働きなど、詳細なメカニズムは分かっていなかった。

共同研究グループは、好塩基球を持たないマウスと、好塩基球由来のIL-4だけを欠くマウスを用い、好塩基球が存在しないことによって、システインプロテアーゼ(イエダニやパパイン)の点鼻投与によって誘導される喘息が抑制されることを明らかにした。

また、IL-4を産生できない好塩基球を持つマウスでも同様の抑制が認められたことから、アレルゲンで誘導される喘息は、好塩基球から産生されるIL-4を介したNH細胞との共同作業によって制御されていることが明らかになった。

今後、これら細胞を標的とした新しい視点からのアレルギー治療法の開発や、さまざまなアレルギーの原因や症状に適合した治療法の構築が期待できる。