京都産業大学の研究者を中心とする研究チームは,2013年11月にすばる望遠鏡の高分散分光装置(HDS)を用いてアイソン彗星を観測し,単独の彗星としては世界で初めて15NH2(アミノ・ラジカルの窒素同位体)の検出に成功した。
15NH2は彗星に含まれる窒素の主な担い手であるアンモニア分子の由来を知る上で手がかりとなる物質。今回の観測により,単独の彗星においてもアンモニア分子の窒素同位体比(14N/15N比)は,太陽や地球大気の値に比べて「15Nがより多く濃集している」ことが明らかになった。
また,分子雲環境との比較から,今回の観測結果は,彗星に含まれているアンモニア分子が,低温度の星間塵表面で形成されたことを示唆している。さらにこの研究結果は,彗星に取り込まれたアンモニア分子の形成温度 (約10ケルビン)は従来考えられていた温度(約30ケルビン)より低いことを示唆しており,太陽系形成期の温度環境について再検討を迫るもの。
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