産業用カメラのインターフェース規格はUSB3.0やGig-E,CoaXPress,CAMERA LINKなどがある。これらはデータ転送レートやケーブルの長さによって異なるが,用途に応じて選択されている。
このうち,国内やアジア地域で主流なのが,CAMERA LINK。一方,欧州などではGig-Eが多いという。今後はよりデータ転送レートが高いCoaXPressが増えていくものと見られている。
さらにマシンビジョン市場では高画質ニーズが高まっており,昨今の4Kブームに伴い,産業用カメラはCCDからCMOSへと移行が進むと見られている。そのため,ケーブルも高画素化と高速伝送に対応する光ファイバケーブルの採用が提案されている。光ファイバケーブルはまた長距離伝送も可能にするほか,ノイズ耐性にも強い。
ただ,マシンビジョン用途ではロボットや各種マウンタ装置など可動性を持つシステムに適用されるケースも少なくない。そのため,光ファイバケーブルには高い耐屈曲性能が求められる。
アバールデータはカメラと入力ボードを光ファイバケーブルで接続するOpt-C:Linkを提案しているが,日星電気製の光ファイバケーブルの曲げ半径はR50mmで,5,000万回の試験に合格している。
古河電工グループの岡野電線は1,500万回の折り曲げ試験に合格した光ファイバケーブルを開発した。試験は現在も継続して進められているという。曲げ半径はR30mmで,屈曲特性に優れるバッファ材料を採用した。既に量産体制も整えており,年1億円の売上げを目指すとしている。
「光ファイバケーブルは双方向の2芯のため,既存の4対構成のメタルケーブルよりもコスト的に優位性はある」(同社)とする。将来的には多芯化対応も計画しており,メタルと光ファイバを複合化したケーブルの製品化に取り組む。
同社は現在,100m伝送を高速・小型・軽量化するオープン光インターフェースとして規格化を進めているIF.HOTARUのメンバーに参画している。このHOTARUはTDKやアイジュール,パナソニック,アバールデータ,沖電線など15社で構成されており,同規格に対応したカメラや入力ボード,ケーブルなどの製品化を進めている。国内では来夏を目途に規格化される見通しで,その後国際標準化に向けての議論が展開されるものと見られている。