産業技術総合研究所ナノシステム研究部門グリーンテクノロジー研究グループ研究グループ長の川本徹氏 らは、東京パワーテクノロジー、関東化学、日本バイリーン、阿部鐵工所と共同で、樹木の幹や枝などの植物系放射性セシウム汚染物を焼却し、生じた焼却灰からプルシアンブルー(PB)ナノ粒子吸着剤により放射性セシウムを抽出・回収する技術を開発し、その有効性を福島県双葉郡川内村に設置した実証試験プラントを用いて確かめた。
この実証試験では、汚染物の種類や焼却条件を変え、合計11回の焼却試験を行ない、計10トン以上の植物系放射性セシウム汚染物を焼却し、まず約80 kgの焼却灰にした。次に、焼却灰中の放射性セシウムを水に抽出し、その灰中の放射性セシウムの60~90 %を除去することに成功した。
抽出された放射性セシウムは、灰の約500~3,000分の1、焼却前の植物系放射性汚染物の10,000分の1以下の重量のPBナノ粒子吸着剤によって回収できる。これにより、今後設置される除染廃棄物用の中間貯蔵施設における必要容積を大きく低減することが可能になる。
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