東大など、超巨大ブラックホール周辺での特異な化学組成を発見

東京大学を中心とする国際研究チームは、南米チリのアルマ望遠鏡を用いて、NGC 1097という銀河の中心にある、活動的な超巨大ブラックホール周辺の高密度分子ガスを、過去最高の感度で詳細に観測することに成功した。

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研究チームは、ミリ波サブミリ波で観測される、さまざまな分子や原子からの放射を元にして探査法を確立することを目指しており、NGC 1097(距離約5千万光年)という銀河において、シアン化水素(HCN)、ホルミルイオン(HCO+)、硫化水素(CS)といった分子の放つミリ波サブミリ波帯の電波(回転遷移線)を、南米チリのアタカマ高地に建設されたアルマ望遠鏡で観測した。NGC 1097は先行研究から中心部に活動的な超巨大ブラックホールが存在すると分かっており、さらに、上記の分子輝線は銀河中心部のような高密度領域を観測するのに適したものとなっている。

その結果、このブラックホール周辺環境ではシアン化水素(HCN)の大量生成に特徴付けられる特異な化学組成が実現しており、その原因はブラックホールの影響で周囲の環境が高温に加熱されていることだと示された。こうした、ブラックホール周辺環境に特徴的な分子の観測を逆手に取ることで、今後は塵に埋もれて可視光などでは観測できない「埋もれたブラックホールの探査」も可能になると考えられる。

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