国立環境研究所は、トヨフジ海運の協力により貨物船2隻(北米航路 Pyxis、オセアニア航路 Trans Future 5)において北太平洋の海洋表層連続観測を行ない、広範囲にわたる二酸化炭素(CO2)分圧を高頻度に測定している。そのデータを使って、CO2分圧と全炭酸濃度の時空間分布を北太平洋全域にわたって明らかにした。
これまでの研究では、広域のCO2分圧と全炭酸濃度の年々変動の推定は困難だったが、今回の研究はそれを初めて可能とし、地球温暖化のメカニズム解明に重要である地球規模CO2循環における北太平洋の役割の理解が進んだ。
CO2分圧の推定は、海域のCO2の放出・吸収の空間的分布やその時間的変化を見積もるのに有用。また、全炭酸濃度の時空間変化をより詳しく解析すれば、海洋中のCO2循環メカニズムの解明に貢献できると国立環境研究所では考えている。さらに、この研究で使用した手法を、全球のCO2分圧分布推定に拡張できれば、温暖化予測に用いられる地球規模炭素循環モデルのよい指針にもなると期待される。
海洋のCO2吸収やCO2循環が、増加する大気CO2濃度や変化する気候のもとでどう推移するかを明らかにすることは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)をはじめ、今後の地球温暖化を考えるために必要な科学的知見である。
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