浜松ホトニクス中央研究所 第一研究室 研究室長代理の大須賀慎二氏と,早稲田大学准教授の片岡淳氏らは,JST先端計測分析技術・機器開発プログラムの一環として,高感度で実用的な角度分解能を併せ持ち,容易に携帯可能なガンマ線撮像用「コンプトンカメラ」の実用化に成功した。特に,浜ホト独自の高感度半導体光検出素子MPPCと高密度で発光特性の良好なシンチレータを用いて,重量を1.9kgと従来品の約4分の1にまで軽量化し,大幅な低価格化にも成功した。2014年2月に発売,価格は1,050万円を予定している。
この製品は,コンプトン散乱の原理を利用してガンマ線飛来方向の分布を画像化し,放射性物質の除染に役立てるために開発したもの。居住制限区域に相当する1時間当たり3.8から9.5マイクロシーベルト(以下,μSv/h)程度の環境下で,放射性物質の集積(ホットスポット)を数分程度で撮像できる。具体的には,実験室環境においてカメラ位置で5μSv/hの空間線量率を与えるセシウム137線源を10秒程度で画像化する計測感度を有している。
さらに,MPPCのダークノイズ特性などの改善,および,ASIC信号増幅処理回路を含めたMPPCからの出力を読み出す回路系の最適化にも取り組み,100keV以下の低エネルギー域においてもガンマ線の散乱・吸収位置と検出器に付与されるエネルギーを精度良く計測し,ガンマ線の飛来方向を高い精度で決定する。
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