慶應義塾大学医学部眼科学教室子特任准教授の小川葉氏、准教授の榛村重人氏、医師(元同大学病院医師(非常勤))の河合正孝氏らの研究グループは、同大学医学部先端医科学研究所(細胞情報研究部門)とともに、慢性の移植片対宿主病(GVHD)のマウスモデルを用いたドライアイの病態解明の研究で、重症ドライアイにおける免疫応答の発症機構に、炎症細胞のひとつであるマクロファージの老化が関与していることを初めて見出した。
この研究では、マウスの免疫反応の発症時期における涙腺への炎症性浸潤細胞には、老化細胞に発現するp16や酸化ストレスの発現が亢進していて、マクロファージをはじめとする免疫担当細胞の老化が、ドライアイの発症や重症化に関与する可能性を示した。なお、マクロファージの老化は動脈硬化ばかりでなく、眼の加齢疾患の代表で高齢者の失明原因のひとつでもある加齢黄斑変性においても重要な要因であることが近年わかってきており注目されている。
この発見は今後、免疫老化、炎症老化によるドライアイの発症・進展の病態解明につながるだけでなく、免疫老化が関連する他の老年性疾患の病態解明にも貢献する可能性がある。
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